2005年07月26日
スローブログ宣言!の心地よさ
鈴木芳樹『スローブログ宣言!』技術評論社、2005年。ISBN 4-7741-2421-4
多数派の意見や新技術に振り回されることのない、ブログとの『スロー』な付き合いかたを提案します
(オビ裏のキャッチコピーより)
このようなタイトルの本が出るくらいに「ブログ界」というものは白熱しているのかなあ、というのが手に取ったきっかけです。ブログとの「つきあい」が、「スロー」というよりも明らかに「怠惰」な私のようなユーザーでも、確かに「日記の更新」に対するプレッシャーは理解できるつもりですし、更新できなくて「読者」に「謝っている」人もたくさん見てきました。それらのスタンスに対しても批判的ではありません。それらのプレッシャーもまた、各人の「ブログとの付き合いかた」であると思っていますから。逆に言うと、こんにちこのようにあらためて「スローブログ」を宣言する必然性はどこにあるだろう、というのが興味ある部分でした。
先に行ってしまうと、本書の内外で頻繁に「ブログ論」という言葉が出てくるにもかかわらず、著者自身が言明しているように、この本は
一種の自叙伝的なエッセイ
「はじめに」より
です。本書の根底には(看板に偽りなく)「スローブログ」という精神が流れていますが、それは大上段に構えられたものではありません。「はてなダイアリー」ユーザーの著者が紆余曲折を経て「ブロガーとなってゆく」過程と、その時々の視点で見えていたブログ界(視界)がつづられています。
私を含めて、この3年間くらいで「ブログ」をいじるようになった人たちにとってはある種の「同時代史」として読むことができるのがこの本の良いところだと思います。「本場アメリカ」における技術面のプロセスなどといったことは、つまるところ単なるユーザーにとって興味の埒外ですし、また「できる」本系の、「ブログを動かす仕組みを学ぶ」本が必ずしも呼んで面白いわけではありませんから。私は「はてなダイアリー」を使ったことがありませんが、はてなユーザーに限らず「ああ、あるある」とうなずくことのできる、間口の広い本のように思われました。
結局のところこの本が書かれるモチベーションとなった、
まだブログを運営していないひとを「だったら、自分もやってみようか」と勇気付け、手探り状態でブログを運営し始めた人を「なるほど、もっと気軽にかまえていいのか」とリラックスさせ、既にブログに精通している人を「あの件は、こういう視点からも解釈できるのか」とちょっとばかり唸らせるのが、本書の狙いだ
「はじめに」より
という点については、うまく狙いが定まっているように感じました。読者としての私が感じたのは、ツールを使い始めた頃に読むと強い印象を受けるんじゃないかな、ということです。
ところでこの本のことを知ったのは、「この本を査読した」加野瀬未友さんの紹介でした。「ARTIFACT」のWeblogツールリストから「ブログをはじめた」人間にとっても、ひとつの回顧本として読めるかと思います。
作成者 フルカワマサユキ
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