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2004年09月27日

中世生活における聖と俗:読書日記

ハンス=ヴェルナー・ゲッツ『中世の聖と俗:信仰と日常の交錯する空間』津山拓也(訳)八坂書房、2004年。
ISBN 4-89694-738-x

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 ゲルト・アルトホフ『中世人と権力』に続く、3巻本のシリーズ「中世ヨーロッパ万華鏡」の2巻目。アルトホフの本が政治を焦点にして、現代とは異なる中世人たちの行動規範を紹介したのに対し、ゲッツのこの本はタイトルにある「聖と俗」に焦点をあてています。
 現代日本に住む非キリスト者である読者たる私たちにとっても(あるいはキリスト者であるとしても)、中世におけるキリスト教世界の住人の行動理念は、…少なくとも現代人の観点からして…キリスト者的であるとも、世俗的であるとも、必ずしも言えないかもしれない。中世人にとって生活世界はどのようにキリスト教的であり、かつ世俗的であったか。
 著者はこの観点から、本書を二つの部分に分けて紹介しています。まず前半で、当時(特に中世初期〜盛期)の聖職者と俗人の生活世界がどの程度まで「聖的」であり「俗的」であったか。俗人については結婚と家族という生活世界から、聖職者については修道士の生活世界から、そのあり様を覗き見てゆこうとします。
 また後半では、生活世界から覗き見ることのできた中世人のこころ(メンタリティ)が、概念としてはどのような表現に反映しているのか…「死」と「悪魔」という象徴を対象に、さらに覗き見てゆきます。

 近年の中世史研究では「中世世界をあまりに世俗的に見ることを戒める」視点と、「中世世界をあまりにキリスト教的に見ることを戒める」視点とが拮抗しているように思われます。しかし具体的には、それはどのようにキリスト教的であり、世俗的でありえたでしょうか。単に牽制をなすだけではなく、建設的に仮説を提示し続けてゆくために、本書はとても刺激的な材料を提示しているように思われました。

作成者 フルカワマサユキ

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