2004年09月20日
大聖堂/ゴシック:読書日記
馬杉宗夫『大聖堂のコスモロジー』講談社現代新書、1992年。
ISBN 4-06-149120-2
酒井健『ゴシックとは何か』講談社現代新書、2000年。
ISBN 4-06-149487-2
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どちらも新書サイズの、読みやすい大聖堂入門/ゴシック入門。両者は必ずしも同一の対象を研究するジャンルというわけではないのですが、我々日本人にとってゴシック芸術の代表選手としての大聖堂の印象は、やはり強いものではないかと思います。
日本の書籍では、ゴシック/大聖堂研究ジャンルのものではもっぱら建築史の観点からのものが大半を占めてきたように見えます。この分野での偉大な紹介者とも言える前川道郎先生の諸著作をはじめとする、そのような建築史ジャンルとしてのゴシック/大聖堂研究視点から書かれたのが前者の『大聖堂のコスモロジー』。現在おそらく絶版になっているかと思われますので図書館か古書店でしか見つけることができませんが、非キリスト者にとってなじみの薄い教会堂(聖堂)の「パーツ」について理解することのできる本です。
後者「ゴシックとは何か」はむしろ文学・社会史系歴史学の側に立って書かれたもの。大聖堂について語るというスタンスは変わりませんが、関心は標題にあるように、ゴシック大聖堂を生み出した「ゴシックなるもの」そのものについて叙述しています。ゴシックの成立・変遷・復権という、中世から近代にかけての展開を追っていくので、一般的な読本としてはこちらのほうがより刺激的であると言えるでしょう。こちらは前者のスタンスの幾分かに関しては批判的なので、両者を比較して読むのも面白いかと思います。
実際のところ、これほど同時に2冊読んで双方の視点からの刺激を受けたという経験は、私にとっては珍しいものでした。私もまた
大聖堂のなかで最も生命力がなく、宗教性に乏しい大聖堂だった(酒井、198頁)
と評されてしまったケルン大聖堂の美しさを思い出しつつ、宗教性というものについて思いを馳せてみたりしました。
作成者 フルカワマサユキ
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